HubSpotのプロダクト組織はなぜ動きが速いのか?2名のPdMが回す爆速体制を解剖
日本市場向けのプロダクトローカライズを最速で届けるHubSpot Japan。PdMの林誠一郎さんと田村京さんに、2人でどう優先順位をつけ、グローバル本社を動かすかを聞いた。
2人の掛け合いが面白い。林さんはグローバルとの交渉に強く、田村さんは日本ユーザーのインサイト発掘が得意。この補完関係が、小さなチームで大きなアウトプットを生んでいた。
CHAPTER 012名のPdMで日本市場全体を担う、その優先順位のつけ方
HubSpot Japanのプロダクトチームは当時、林さんと田村さんの2名体制だった。グローバルで数百本あるプロダクトのロードマップの中から、日本市場向けに優先すべき機能を選び出し、本社のプロダクトチームを説得する仕事だ。
毎クォーター、日本のユーザーインタビューを50件以上こなしました。CRM初心者が躓くポイントと、上級ユーザーが欲しがる機能は全然違う。その両方を理解した上で、どちらを優先するかの議論を本社としていましたと林さん。
- WeeklyグローバルPdMとのSync(Slack + Zoom)
- Monthly日本ユーザーインタビュー(10〜15件)
- QuarterlyJapan Market Review(本社経営陣へのプレゼン)
CHAPTER 02グローバル本社を動かす「データと物語」の技術
HubSpotの本社はマサチューセッツ州ケンブリッジ。日本語でロードマップの変更を主張しても伝わらない。データと、そのデータが示すユーザーの感情的なストーリーを英語でプレゼンすることが必須でしたと田村さん。
印象的なエピソードがある。日本のSMB企業がCRMの初期設定で離脱する問題を、60件のインタビューデータと録音を組み合わせたプレゼンで本社に伝えた。3ヶ月後にオンボーディングフローが大幅に改善された。
本社のPdMは日本のユーザーの声を直接聞けない。だから私たちが橋渡しになる。そこに私たちの存在価値があると田村さんは言う。
CHAPTER 03小さなチームで大きなインパクトを出すための個人の技術
2名体制で日本市場全体を担うためには、圧倒的な個人の生産性が求められる。林さんが実践しているのは非同期ドキュメントの完全化だ。Notionに全ての意思決定と背景を書き、本社のPdMが時差なく判断できる状態を常に保つ。
田村さんはユーザーインサイトの構造化に注力した。顧客インタビューの音声をAI文字起こしツールで処理し、発言を課題タイプ別に分類するデータベースを自作した。
- 課題①時差12時間でのグローバル本社との協調作業
- 課題②日本語・英語双方でのドキュメンテーション
- 課題③2名で数百万ユーザーのニーズを代弁する責任
取材協力
CONTRIBUTORS今回の取材にご協力いただいた方々です。
2人で回せる限界まで自分たちを拡張したという言葉が、このレポートのタイトルの意味を体現していた。グローバルPdMという職種の可能性と難しさを同時に教えてもらった。