タイミーのプロダクト組織はなぜ動きが速いのか?PMが語る、スポットワーク市場を制する開発文化
上場直前・直後という急成長フェーズで、タイミーのプロダクトマネージャーは何を考えていたのか。
「働く」を再定義するプロダクトを、PMたち自身も「働き方を選びながら」作っているという矛盾のなさに感心した。
2024年に東証グロース市場に上場したタイミーは、「すぐ働けてすぐお金になる」スポットワークプラットフォームとして、累計登録者数800万人を超えた。登録・マッチング・入金というシンプルな体験の裏側には、スループットを最大化するための精緻なプロダクト設計がある。
プロダクトマネージャーの前田悠希さんは、上場前後の急成長期にタイミーに入社した。前職では大手EC企業でサービス企画に携わり、スピードと規模の両方を経験してきた。「タイミーはユーザー数の規模に対してチームが小さく、一人のPMが動かせる範囲が広い。それが入社の決め手でした」と話す。
今回は前田さんに、急成長フェーズのプロダクト組織のリアルと、スポットワーク市場の展望について聞いた。意思決定の速さを支える仕組みと、PMに求められるスキルセットに迫る。
タイミーのプロダクト組織が速く動けている理由は何だと思いますか?
意思決定の階層が少ないことが大きいと思います。施策を試すとき、PMが仮説と期待効果を一枚のドキュメントにまとめて共有すれば、翌日には動ける。承認フローが長い組織だと1週間かかることが、ここでは1〜2日で完結します。スピードを組織の設計に組み込んでいる感じがあります。
データへのアクセスがオープンなことも効いています。誰でもダッシュボードを見られるので、仮説を立てたらすぐに数字で確認できる。エンジニアもデザイナーも自分でデータを見て動くので、PMが情報の中継点になる必要がなく、並列に物事が進みます。
プロダクトビジョンはどう定義されていますか?日々の開発にどう紐づいていますか?
「スポットワークを当たり前のキャリア選択肢にする」というビジョンは、社内では浸透しています。日々のスプリントでも「この機能はビジョンのどこに繋がるか」という問いが自然と出てくる文化があります。単発の機能追加より、体験の繋がりを重視する議論が多いです。
ワーカーさんと企業さん、両方のユーザーに価値を届けないとマーケットプレイスが成立しないので、どちらか一方を最適化するだけでは不十分です。その緊張関係を意識しながら、トレードオフを判断することがPMの重要な仕事の一つです。
スポットワーク市場は今後どう進化していくと見ていますか?
スポットワークは今は「若い人の副業・アルバイト」というイメージが強いですが、もっと幅広い働き方に広がると思っています。専門職のスポットワーク、シニア層の活用、育児や介護との両立を考えている人のすき間時間、そういった多様なニーズに対応するプロダクトになる余地があります。
企業側も変わっていくと思います。採用難が続く中で、固定のスタッフを雇う代わりにスポットワーカーを組み込む業務設計が普及してきています。タイミーはその変化の中心にいるプラットフォームで、市場全体の成熟とともにプロダクトも深化が必要です。
エンジニアやデザイナーとのコラボレーションはどうですか?
チームが小さい分、毎日話せる距離感があります。Figmaのプロトタイプをその場で見ながら仕様を詰めたり、実装中にエンジニアから「この設計だとパフォーマンスに問題がある」と指摘をもらって仕様を修正したりが普通に起きます。PMがボトルネックになりにくい環境だと思います。
一方で、ドキュメントを丁寧に書く文化も大切にしています。仕様書が曖昧だとコミュニケーションコストが上がるので、なぜその仕様にしたかという背景まで残すようにしています。スピードと記録の両立は意識しないとなかなか維持できないので、チームで継続的に改善しています。
タイミーはどんなPMに来てほしいですか?
ユーザーインタビューと定量分析の両方が好きな人です。スポットワーカーの体験を定性的に理解しながら、施策の効果を数字でフォローアップする。その両輪を回せる人がタイミーでは特に活躍できると思います。
あとは、答えが決まっていないゼロイチの議論を楽しめる人。市場自体がまだ発展途上なので、「業界標準」がない場面が多い。先例がない状況で仮説を立てて動ける人が、急成長フェーズのこの組織には合っています。
スポットワークという市場の成熟とともに、タイミーのプロダクトも深化し続けている。その最前線にいるPMの目は真剣だった。